ESG投資とは|基本の仕組みや具体例をわかりやすく簡単に紹介


公開日:2026.08.03 更新日:2026.08.02
ESG投資とは|基本の仕組みや具体例をわかりやすく簡単に紹介

近年、ビジネスシーンやニュースで「ESG」という言葉を目にする機会が増え、新たな資産運用の選択肢として注目を集めています。

ESG投資とは、これまでの財務情報だけでなく、企業の環境・社会・ガバナンスへの取り組みを長期的な評価基準に組み込む投資手法です。

本記事では、非財務情報が長期的な収益に結びつく仕組みや、初心者でも実践できる具体的な銘柄の選び方をわかりやすく紹介します。見せかけの環境対応であるグリーンウォッシングのリスク管理から、失敗しないためのファンドの確認方法までをカバーしました。

この記事を通して、市場や企業の長期的な価値を見極め、自身のライフプランに最適な資産運用をスタートする判断基準が身につく内容をまとめていますので、最後までご一読ください。

1.ESG投資とは何か?基礎知識からわかりやすく解説

はじめに、ESG投資における基本情報と、現代の投資市場で欠かせない考え方となっている背景や理由について紹介します。

1-1. 環境・社会・ガバナンスの3つの要素

ESG投資とは、従来の財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンスという3つの非財務情報を評価して投資先を選定する手法です。

企業経営における持続可能性を評価する基準として、財務諸表には表れない潜在的なリスクや成長性を捉えるため、多くの投資家に活用されてきました。

下表で、3つの要素の具体的な要件と重要性、企業価値への影響度をまとめています。

ESG要素具体的な要件企業価値への影響
環境(E)気候変動対策資源管理汚染防止 など規制リスク低減エネルギー効率向上ブランド価値向上
社会(S)人権尊重労働環境ダイバーシティ など人材確保社会的信頼レピュテーションリスク低減
ガバナンス(G)経営体制透明性倫理基準 など経営の健全性不正防止持続的な成長基盤の構築

これまでは環境保全への配慮といったブランドイメージ的な側面が強調されがちでしたが、現代の市場においては経済合理性がより重視されています。それぞれの要素に上手く対応していない企業は不祥事や操業停止のリスクが高まり、甚大な財務損失につながるため、非財務情報の精査は投資に欠かせないプロセスです。

1-2. 世界中の投資家が今ESG投資に注目する理由

世界中の投資家がESG投資に注目する背景には、非財務情報への配慮が長期的な企業価値の向上とリターンの改善に直結するという経済合理性があります。

企業の無形資産やサステナビリティへの対応力が、中長期的な収益力を見極める重要な指標として市場全体で重視されるようになりました。最新動向として、日本国内でもサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)の義務化に向けた制度的枠組みの構築が本格化しています。有価証券報告書での非財務情報の開示が厳格化されることで、投資家が企業の長期的な価値を客観的に比較できる環境の整備が進行中です。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のような巨額の資産を運用する投資家も、市場全体の底上げを狙ってESG評価を導入しています。しかし、投資家にとって単なる社会貢献ではなく、気候変動などの構造的リスクを排除し、リスク調整後のリターンを最大化するために求められる合理的な投資戦略と言えます。

参照URL:
・野村アセットマネジメント「ESG投資とは」
・野村アセットマネジメント「世界に広がるESG投資」
・七十七銀行「ESG投資とは?メリット・デメリットや投資方法をわかりやすく解説」 

2.ESG投資を行うメリットと事前に知っておきたい問題点

ここでは、ESG投資がもたらす中長期的なメリットと、投資前に必ず把握しておくべきリスクや課題について紹介します。

2-1. 企業への投資がもたらす長期的なリターン

ESG投資は、企業の持続可能性を評価することで、中長期的な経営リスクをコントロールし、安定したリターンを得られる点が大きなメリットです。

従来の財務情報だけでは見えない環境問題や経営不祥事のリスクを前もって避けるうえで、非財務情報の分析は非常に有効な手段のひとつです。ESGへの取り組みが優れた企業は、ブランド価値が向上し、優秀な人材の確保や新たなビジネス機会の創出につながることが明らかとなっています。また、SDGsに代表される世界的な規制強化にともない、脱炭素や人権配慮に対応できない企業は市場から淘汰されるリスクが高いため、投資先の選定基準としても合理的です。

このように、目先の利益だけでなく、将来の市場変化に適応できる企業へ投資をするアプローチが、長期的な資産形成を安定させるために欠かせないポイントとなっています。

2-2. 投資前に把握すべきリスクと「グリーンウォッシング」の問題点

ESG投資の最大の注意点は、実態がともなっていないにもかかわらず、見せかけだけ環境配慮を装うグリーンウォッシングに遭遇するリスクがあることです。

そこで投資家は、企業の甘い言葉や表面的な広告に惑わされることなく、客観的なデータや開示情報に基づいて実態を精査する必要があります。特に、初心者向けの投資信託のなかには、明確な基準がないまま「ESG」という名称を掲げている商品が紛れている可能性があるため、申し込む前に、内容をしっかりと確認することが大切です。

【グリーンウォッシングを避ける3つのチェックポイント】

1.客観的な情報を見極める

企業の表面的な広告や言葉に惑わされず、統合報告書や開示情報など、客観的なデータに基づいて実態を確認しましょう。

2.「ESG」の名称だけでなく中身を確認する

初心者向けの投資信託などで「ESG」という名称を掲げていても、運用基準が曖昧な場合があります。目論見書を読み、どのような基準で評価されているかを必ず確認してください。

3.信頼性の高い基準のファンドを選ぶ

金融庁の監督指針や、国際的な開示規制などの厳格な基準を満たしたファンドを選ぶことで、リスクを減らすことが可能です。

投資を検討する際の判断材料としてご活用ください。

参照URL:
・IUCN日本委員会「グリーンウォッシュとは」
・アセットマネジメントOne「ESG投資とは?デメリットから考えるリターン向上のポイント」 

3.初心者でも簡単に実践!ESG投資の始め方と銘柄選び

ここからは、初心者に向けて具体的な銘柄選びの基準や、リスクを低減して運用できる投資信託の活用方法について見ていきましょう。

3-1. 個別銘柄を選ぶ基準と企業の具体例

まず、個別銘柄を選ぶ基本は、企業が発行する統合報告書からESGの具体的な取り組みと、将来的な財務リターンへの結びつきを確認する作業です。

たとえば、独自の脱炭素技術で市場競争力を高めている企業や、多様性の推進によりイノベーションを創出している企業などが具体例として挙げられます。非財務情報が開示されている有価証券報告書等を確認し、経営陣のガバナンス体制や法令遵守の状況を客観的にチェックすることが重要です。

ただし、個別銘柄への投資は株価変動の影響を直接受けるため、企業の成長性を見極めるための高度な分析力が必要となります。

3-2. 初心者がリスクを抑えて簡単に始めるための投資信託

一般に、初心者がリスクを抑えて簡単にESG投資を始めるためには、複数の銘柄に分散投資をおこなう投資信託(ファンド)の活用が推奨されます。

投資信託であれば、少額の資金から世界中のESG優良企業へ手軽に分散投資できるため、初心者でも無理のない運用が可能です。

下表で、個別銘柄への直接投資と、投資信託を活用した手法における特徴やリスクの違いについて整理しました。

【ESG投資における運用手法の比較表】

比較項目個別銘柄への直接投資投資信託を活用した手法
特徴特定企業のESG活動を直接分析可能少額から世界中の優良企業へ分散投資
メリット成長性や取り組みを深く把握できる初心者でも手軽に運用開始が可能
必要な知識・能力高度な分析力(統合報告書等の確認)目論見書での評価基準確認能力
主なリスク株価変動の影響を直接受ける運用手数料(コスト)への注意が必要

このように、投資信託を選ぶ際は、目論見書を読み、どのような基準でESGの要素を評価して組み入れているかを客観的に確認することが大切です。

参照URL:
・野村アセットマネジメント「ESG投資とは」
・七十七銀行「ESG投資とは?メリット・デメリットや投資方法をわかりやすく解説」 

4.ファンド選びで役立つESG投資信託ランキングの活用法

ここでは、ランキングを活用する際の注意点やファンドの比較方法、NISAを利用した効率的な長期運用のコツについて見ていきましょう。

4-1. 【チェックポイント】投資信託ランキングの上位ファンドの見方

ESG投資信託を選ぶ場合、ランキングの順位だけで選ぶのではなく、信託報酬などの運用コストや組み入れ銘柄の選定基準を比較することが重要です。

上位のファンドであっても、運用手数料が高ければ、中長期的なトータルリターンが大きく損なわれるときがあります。名前だけのESG商品を選り分けるためには、目論見書で投資方針や評価プロセスについてきちんと開示されているか、確認が必要です。

下表で、自身の目的に合った商品選びで特に大切なポイントをまとめました。

【ファンド選びのチェックポイント】

確認項目チェックのポイント
信託報酬(運用コスト)手数料が高すぎないか(リターンを損なっていないか)
組み入れ銘柄の選定基準具体的にどのような基準で銘柄が選ばれているか
投資方針自身の目的に合致しているか(目論見書で確認)
ESG評価プロセス透明性のあるプロセスで評価・選定されているか

上表のチェックポイントを基準に目論見書を確認することで、ただの名目だけでなく実態の伴ったファンドを判断することができます。

4-2. NISAを活用して長期で投資信託を運用するコツ

NISAのつみたて投資枠を活用し、定期的に積み立て続ける手法が、リスクを抑えて安定運用をおこなう最大のコツです。

一般にドル・コスト平均法と呼ばれる、定額で継続して購入する手法を利用すると、購入時期が分散されるため、価格変動のリスクを最大限コントロールできます。

ESG投資は長期のサステナビリティを評価する手法のため、焦らずに10年以上の長期間にわたり運用することが基本です。利益が非課税になるNISAを活用することで、運用リターンをそのまま次の投資へ回す複利効果を効率よく得られます。ただし、市場動向や自身のライフプランにマッチしたファンド選びには、専門的な視点による客観的な分析が必要です。

参照URL:
・NEXT FUNDS「世界で注目される投資の潮流 ESG投資ETF」
・アセットマネジメントOne「ESG投資とは?デメリットから考えるリターン向上のポイント」
・七十七銀行「ESG投資とは?メリット・デメリットや投資方法をわかりやすく解説」
・野村アセットマネジメント「ESGレポート:モルガン・スタンレー グローバル・サステイン戦略ファンド」
・ダイヤモンド・ザイ「NISAで注目! つみたて投資枠で買える低コスト投資信託も! 企業が長期的に成長を続けるために欠かせない「エコ・ESG」関連のテーマ型3本」

5.ESG投資の判断に迷った場合はプロへ相談

ここからは、ESG投資を進めるなかで判断に迷った際、専門家へ相談するポイントや客観的なアドバイスを受けるメリットについて紹介します。

5-1. 自分のライフプランと投資目的を専門家に話してみよう

ESG投資は、市場や企業の長期的な価値を見極めるうえで、多角的な視点が必要です。たとえば、近年注目を集める「系統用蓄電池」への投資のように、環境価値と収益性の両立が期待される具体的なテーマについては、より高度な専門知識が求められます。

こうした背景から見ても、自身のライフプランに基づいた客観的なアドバイスを受ける機会が大切となります。

専門家に相談をすることで、個人のライフステージに応じた、その時点でベストとなる資産運用計画の作成が可能となります。自己判断だけで投資信託のランキング上位銘柄を選ぶと、現状の許容リスクを超えた運用になり、将来の計画に悪影響を及ぼすときがあるため、注意が必要です。

下表で、専門家へ相談をするメリットと具体的な効果を見ておきましょう。

相談するメリット具体的な効果
客観的な現状分析ができる自身の資産状況やリスク許容度を冷静に把握できる
最適な運用計画の策定につながるライフプランに沿った投資戦略を立てられる
専門的な知見を活用できる偏ったファンド選びを防ぎ、リスクを抑えた運用が可能になる
継続的なサポートが受けられる市場環境の変化に応じた柔軟な軌道修正ができる

このように、プロの視点による客観的な診断を取り入れることが、結果として満足度の高い資産運用につながり、将来の経済的な安定を引き寄せます。不確実性の高い市場のなかで資産を堅実に守りながら、持続可能な社会への貢献と利益を両立させるためにも、まずは一度専門家へ相談してみるのが賢明です。

5-2. 専門家への相談材料

相談をスムーズに進め、より精度の高いアドバイスを受けるためには、以下の情報を事前に整理しておくことをおすすめします。

  • 現在の保有資産状況

(預貯金、他の投資商品など)

  • 具体的な投資目的と目標金額
  • 許容できるリスクの範囲

(どの程度の変動まで耐えられるか)

  • 運用期間

(いつまでに、何のために資金が必要か)

自身のライフプランと現在の経済状況を投資の観点からまとめておくことで、より有意義な相談となり、具体的な提案を受けることが可能です。

参照URL:
・東証マネ部!「【ESG投資を知る】サステナビリティ経営のプロに聞く“ESG投資が目指す未来”」
・マネイロメディア「投資相談はどこにするべき?NGの相談先と失敗しないための選び方を徹底解説」
・野村アセットマネジメント「ESG投資とは」
・七十七銀行「ESG投資とは?メリット・デメリットや投資方法をわかりやすく解説」 

6. まとめ:ESG投資で持続可能な資産形成を目指そう

ESG投資は、環境や社会課題への対応力から企業の持続可能性を判断し、長期的な経済合理性を追求できる、効果的な資産形成の手法です。目先の財務情報だけでなく、企業の非財務情報を綿密にチェックする姿勢を心がけることで、将来のライフプランや自社の経営に対するリスクを軽減できます。

グリーンウォッシングなどのリスクに注意しながら、NISA等を活用して複利効果を最大化させることが、安定した成果を出すためのコツです。多角的な分析が必要となるからこそ、自身のライフプランに基づいた客観的なアドバイスを受けることが、満足度の高い運用につながります。ぜひ正しい知識とプロの知見を組み合わせ、社会的意義と確かなリターンの両取りを目指す、自分にぴったりの資産運用をスタートさせましょう。

井上 勝司
井上 勝司 本記事の執筆・監修者

株式会社インターコンテック所属 マネージングディレクター / 事業戦略責任者

太陽光発電システムの企画・開発・流通・販売まで、再生可能エネルギー事業の上流から下流までを一貫して経験する事業戦略責任者。再生可能エネルギー業界で18年以上にわたり、太陽光発電事業を中心に、事業開発、EPC、プロジェクトマネジメント、金融ストラクチャリングなど幅広い分野に携わる。

Non-FIT制度開始以降は、大規模発電所から分散型・地産地消型電源の開発まで数多くのプロジェクトを推進し、スタンフォード大学発の太陽光パネルメーカーやEPC事業者で培った知見を活かして事業開発を実施。RE100を推進する企業への案件組成や、自社での発電設備保有・電力卸取引など、多様な事業スキームを手掛けてきた。近年は系統用蓄電池やNon-FIT電源開発にも注力し、事業戦略の立案から実行までを支援している。

慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(経営学修士〈Executive MBA〉)。経営学・都市社会学を専門とし、役員歴4年、再生可能エネルギー業界歴18年以上。

太陽光発電システムの企画・開発・流通・販売まで、再生可能エネルギー事業の上流から下流までを一貫して経験する事業戦略責任者。再生可能エネルギー業界で18年以上にわたり、太陽光発電事業を中心に、事業開発、EPC、プロジェクトマネジメント、金融ストラクチャリングなど幅広い分野に携わる。

Non-FIT制度開始以降は、大規模発電所から分散型・地産地消型電源の開発まで数多くのプロジェクトを推進し、スタンフォード大学発の太陽光パネルメーカーやEPC事業者で培った知見を活かして事業開発を実施。RE100を推進する企業への案件組成や、自社での発電設備保有・電力卸取引など、多様な事業スキームを手掛けてきた。近年は系統用蓄電池やNon-FIT電源開発にも注力し、事業戦略の立案から実行までを支援している。

慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(経営学修士〈Executive MBA〉)。経営学・都市社会学を専門とし、役員歴4年、再生可能エネルギー業界歴18年以上。

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