特別高圧受変電設備とは!大規模施設での受電や高圧との違いを解説


公開日:2026.07.09 更新日:2026.07.06
特別高圧受変電設備とは!大規模施設での受電や高圧との違いを解説

工場やデータセンターなどの大規模施設を運営するうえで、特別高圧受変電設備の導入や更新はコストを大きく左右する重要なポイントです。しかし、7,000Vを超える超高電圧を扱うため、敷地内への設置義務や電気主任技術者の選任など、法令上の厳格な要件や莫大な初期投資がともないます。

そこでこの記事では、高圧・低圧との違いや構成機器、保安規程などの法的義務をわかりやすく紹介します。また、特高インフラを活かした次世代ビジネスである「系統用蓄電池事業」の投資対効果や、プロへ相談すべき理由にも触れています。自社の設備更新や新規事業への参入を成功させるための判断材料として、ぜひ最後までお読みください。

特別高圧受変電設備とは?電力を安全に受電する仕組み

はじめに、特別高圧受変電設備とは何か、電力を安全に受電するための仕組みについて紹介します。

特別高圧受変電設備の概要と役割

特別高圧受変電設備とは、電力会社から供給される超高電圧の電気を受け入れ、敷地内にある機器で安全に使用できる電圧へと変換するための一連の設備を指します。

工場や大規模な施設では、一度に消費する電力の量が非常に大きいため、電力会社から送電される高い電圧のままで電気を直接受け取らなければなりません。しかし、受電した大容量の電気をそのままで使用することはできないため、敷地内に設置した専用の変圧器や遮断器などの機器を用いて、一般的な100Vや200Vといった使いやすい電圧へと引き下げる必要があります。このように、特別高圧受変電設備は、事業所の中に施設内の小さな変電所を整備するイメージであり、特別高圧の利用に当たって重要な役割を果たすものです。

特別高圧受変電設備が持つもうひとつの重大な役割は、予期せぬ落雷や漏水といった電気トラブルが発生したときに、施設内の安全装置として負荷設備を保護する機能です。万が一、敷地内の電路にショート(短絡事故)や、電気が地面と接触してショートする地絡が発生した場合、受変電設備が瞬時に事故電流を遮断し、被害が周辺地域へと広がる「波及事故」を未然に防ぎます。もし事故発生時に保護機能が正しく作動しないと、近隣の病院や学校、一般家庭などの広範囲で大規模な停電を引き起こしてしまい、社会的、経済的に多大な損害賠償を請求される事態になりかねません。

このように、大容量の電力を低コストで安定運用する機能と、万が一の災害時に人命や地域インフラを守る高い安全性の両方を担保することが、特別高圧受変電設備の重要な役割と言えます。

7,000V超の電気を扱うリスクと工夫

法律によって「7,000Vを超えるもの」と規定されている特別高圧の電路では、電圧が桁違いに高いため、漏電や感電を確実に防止するための徹底した絶縁対策が施されています。

経済産業省の「電気設備に関する技術基準を定める省令」の第二条(電圧の種別等)では、交流と直流のそれぞれで電圧の区分が定められており、7,000Vを超える領域が「特別高圧(特高)」の範囲です。このクラスの電圧になると、電線に直接手が触れなくても、周囲の空気を突き破って放電する、空中放電が発生する危険性があり、比較的小さな電流であっても身体に流れることで重篤な火傷や、命にかかわる深刻な労働災害を引き起こすリスクがあります。また、設備内部で発生するアークと呼ばれる巨大な火花によって機器自体が爆発したり、周囲の壁に燃え移って火災を発生させたりするリスクがあるため、高圧以下の設備とは比較にならないほど厳格な施設規制がかけられています。

実際の運用では、高いリスクをクリアするために、特別高圧受変電設備では以下のような技術的な工夫が数多く統合設計されています。

・専用送電線と鉄塔により完全に分離されている

街中の電柱に架けられている通常の配電線とは完全にルートを分け、取扱者以外が容易に接触できないような専用の鉄塔や地中埋設ケーブルのみを用いて電気を敷地内へと引き込みます 。

・アクリル板や防護措置で充電部を保護している

受変電設備が収められている盤の内部では、電気が流れている充電部が絶縁性の高いアクリル板やシールドで厳重に保護されており、点検中の作業員が不意に接近することを物理的に防ぐ設計になっています。

・安全衛生特別教育の実施が義務づけられている

労働安全衛生法令により、特別高圧設備を取り扱う従業員には「高圧・特別高圧電気設備取扱特別教育」と呼ばれる専門の安全講習の受講が義務づけられており、保護具の正しい着用や安全距離の確保といった手順の徹底が図られています。

参照:

東京電設サービス株式会社「【電気の基本】特別高圧とは?低圧・高圧との違いもわかりやすく解説」
https://navi.tdsnet.co.jp/2023/02/27/7679/

ギアミクス「特高受電とは?特高受変電設備の構成やメンテナンスについて徹底解説」https://gearmix.co.jp/blog/extra-highvoltage-substation/

関西電力「特別高圧とは?低圧や高圧との違い、活用するメリットや注意点を解説」https://sol.kepco.jp/useful/aircontrol/w/tokubetsukoatsu/

表で理解!低圧・高圧との違いと特別高圧の境界線

ここでは、表を使って低圧や高圧、特別高圧それぞれの区分の基準を見ていきましょう。

電圧・契約電力・受電方式の低圧・高圧との違いを一覧で比較

電圧には、特別高圧、高圧、低圧の3つの区分があります。電力会社から供給される電圧の高さ、同時に使用する電力量の目安である契約電力の大きさ、および受電方式の違いによって見分けられます。

自社がどの区分に該当するか、ひと目で違いがわかる以下の比較表をご確認ください。

【低圧・高圧・特別高圧の違い 比較表】

区分電圧の目安契約電力の目安受電方式と必要設備対象となる主な施設例
低圧安全な電圧(100V・200Vなど)50kW未満・電力会社の柱上変圧器で変圧・自前の受電設備は不要一般家庭、小規模オフィスなど
高圧6,600V50kW以上〜2,000kW未満・敷地内にキュービクル(高圧受変電設備)が必要ビル、中小工場など
特別高圧20,000V以上の圧倒的な高電圧2,000kW以上・信頼性の高い複数回線受電・専用の変電設備が必須大規模な工場、データセンター、大学キャンパス、病院など

まず、「低圧」は、一般家庭や小規模オフィス向けの電圧区分です。電柱の上の柱上変圧器で安全な電圧に変圧されてから引き込まれるため、利用者が高額な設備を用意する必要はありません。

次に、「高圧」は、ビルや中小工場向けで、6,600Vで受電するため敷地内にキュービクルが必要となります。

そして、「特別高圧」は契約電力が2,000kW以上になり、供給電圧が20,000V以上の圧倒的な高電圧区分です。そのため、信頼性の高い複数回線の受電方式と専用の変電設備を必ず設置しなければならない点が3区分の相違点と言えます。

対象となる大規模な施設

特別高圧の契約で電気を受電している施設は、広大な土地や敷地を保有し、24時間稼働などで大量の電力を消費し続ける、非常に大規模の大きな施設です。

具体的な施設例としては、巨大な電気炉や多数の製造ラインを常時フル稼働させる製鉄所や化学コンビナート、自動車製造工場などの大型工場が代表的です。さらに、インターネット社会のインフラを支え、数千台のサーバー機器とそれらを冷却するための巨大な空調システムを24時間ノンストップで動かし続けるデータセンター(DC)も、最大50MW規模などの膨大な電力を必要とするため、特別高圧の対象施設の一例となっています。

このほか、多くの学生や研究設備が集まる大学の広大なキャンパス、多数のテナントやアミューズメント施設を網羅する大型の複合ショッピングモール、テーマパークなども、エリア全体の空調や照明をすべて一括でカバーするため、特別高圧の供給対象です。また、鉄道会社においては、過密な運行ダイヤに沿って走る大量の電車に膨大な電気エネルギーを安定供給する目的から、上流の変電所からダイレクトに特別高圧で受電するシステムが整備されています。

こうした大規模施設では、社会的役割が大きく、運用上、電気が一瞬でも途切れることが許されないという共通点があるため、特別高圧のインフラが不可欠となっています。

受電設備を敷地内への設置義務と初期投資・電気料金単価の差

特別高圧を受電する際は、敷地内に専用の特別高圧受変電設備や鉄塔、引き込みケーブルなどを自前で設置する重い法的義務が発生し、初期投資と維持費の負担が極めて大きくなります。

高圧受電であれば既製品のキュービクルを設置するだけで比較的容易に変圧環境を整えられますが、特別高圧ではキュービクル設備の導入だけでは対応できません。敷地内に専用の建屋を建てて独自の変電所を丸ごとひとつ建設するような大規模なエンジニアリング工事が必要となります。そのため、初期の設備投資費用は数千万円から数億円規模にのぼることが多く、導入の計画段階における慎重な予算管理が必要です。

しかしその一方で、特別高圧契約にはランニングコストの面で非常に力強いメリットがあります。低圧や高圧のプランと比較して、1kWhあたりの電力量料金単価が大幅に格安な水準に設定されているためです。背景として、需要家側が高価な設備投資を行い、維持管理の手間やリスクを自ら引き受けていることに対する、電力会社側の料金上の配慮に基づく仕組みと言えるでしょう。

したがって、長期にわたって膨大な電力量を継続して消費し続ける大規模施設であればあるほど、特別高圧の区分による割安な単価のおかげでコスト削減効果が積み重なり、高額な初期設備投資を十分に回収して余りあるほどの大きな差益を生み出すチャンスが待っています。

参照:岡山電力「特別高圧は何ボルト以上?高圧との違いをわかりやすく解説」https://okayama-epco.co.jp/energy_plus/blog/corporation/special-high-voltage-how-many-volts/

株式会社ミナオス「低圧電力と従量電灯ってどう違う?仕組みや契約の概要ををわかりやすく解説」
https://minaosu.co.jp/electricity/difference/

関西電力「高圧電力とは?低圧電力や特別高圧電力との違い、契約の注意点を解説」https://sol.kepco.jp/useful/aircontrol/w/koatsudenryokui/

電力系統から敷地内へ!特別高圧が供給されるルート

ここからは、電力系統から自社の敷地内へ直接特別高圧が供給される流れを紹介します。

上流の変電所から専用の送電線や鉄塔で引き込む仕組み

特別高圧の電気は、発電所から超高電圧で送り出された後、配電系統の最上流部にある一次変電所や中間変電所などから、街中の電柱である一般の配電線は一切経由せず、専用の送電線や鉄塔を通じて敷地内へとダイレクトに引き込まれるルートをたどって供給されます。

発電所で生み出された数千Vから2万Vの電気は、電線を通過するときの発熱による送電ロスを極限まで抑える目的から、送電線に送り出される最初の段階で27万5,000Vから50万Vという圧倒的な超高電圧に変換されます。まず、超高電圧の電気は広域的な送電網を通じ、各地の超高圧変電所や一次変電所へと送られます。一般家庭用の電気であれば、ここからさらに中間変電所や配電用変電所を経て、電柱の柱上変圧器などで徐々にきめ細かく減圧されていきますが、特別高圧では、供給プロセスの極めて上流にある変電所から直接、電気を引き込む点が大きな特徴です。一次変電所などで数万Vから15万4,000V程度にまで減圧された質の高い電気が、需要家の敷地内へ直接引き込まれる仕組みになっています。

このように上流の基幹電力網から自社専用の専用送電線や鉄塔といった送電網で直接受電するため、近隣にある他の工場の稼働状況にともなう電圧変動といったノイズや影響を受けにくく、極めて安定した品質の電力を24時間体制で大量に確保可能です。

ただし、引き込まれる電気は数万Vという危険な超高電圧のままですので、敷地内に電力を受け入れるための特別高圧受変電設備を整備し、自社の持つスキルで安全に変圧を行わなければなりません。

大規模停電を防ぐための信頼性の高い受電方式

万が一の停電による甚大な経済的・社会的損失を防ぐため、特別高圧を受電する施設では、電力会社から複数のルートで同時に電気を確保する「多回線受電方式」が業界スタンダードとして採用されています。

1本の電線を使い1回線だけで電気を引き込む、低圧や一部の高圧向けの受電方式では、送電線への落雷や事故によってルートが遮断された瞬間、施設全体が完全にブラックアウトしてしまいます。そのため、特別高圧の現場では、こうした致命的な事態を避けるために、主に以下の3つの信頼性の高い複数回線受電方式が使い分けられています。

1.本線予備線(2回線)受電方式

通常、電気を供給する本線とは別途、トラブル発生時に備えた予備線の2回線で契約する方式です。万が一、本線が停電した際は、自動的に予備線へと回路が素早く切り替わるため、停電する時間を最小限で復旧できます 。

2.ループ受電方式

まるで大きな輪のループのように、変電所と複数の施設を接続した配電網を整備し、常時2方向から電気を受け取ります。もし送電線のどこか1箇所で不測の事故が起きても、ループ状でつながった反対側のルートから電気を送電できるため、全停電のリスクを劇的にコントロールできます。

3.スポットネットワーク受電方式

主に都市部の高層ビルやデータセンターなど、極めて高い供給信頼性が求められる施設で導入されている方式です。上記2方式は合計2回線まででしたが、本方式では3回線以上の複数の回線を並列して受電します。結果、どれか1つの回線や変圧器が故障しても、切り替え時の瞬停(一瞬だけ停電すること)すら発生させることなくクオリティの高い電気を供給し続けることが可能です。停電が発生しにくく、3方式のなかで最も高度で強固な受電方式といわれています。

参照:

東京電設サービス株式会社「【電気の基本】特別高圧とは?低圧・高圧との違いもわかりやすく解説」
https://navi.tdsnet.co.jp/2023/02/27/7679/

ギアミクス「特高受電とは?特高受変電設備の構成やメンテナンスについて徹底解説」https://gearmix.co.jp/blog/extra-highvoltage-substation/

関西電力「特別高圧とは?低圧や高圧との違い、活用するメリットや注意点を解説」https://sol.kepco.jp/useful/aircontrol/w/tokubetsukoatsu/

特別高圧受変電設備を構成する主な機器と法的義務

以下で、具体的に特別高圧受変電設備を構成する主な機器と法的義務について紹介します。

超高圧の電気を安全に変換する「特高変圧器」の冷却構造

特別高圧の電流を敷地内で使える電圧に下げる特高変圧器(トランス)の内部では、大電流にともなう膨大な熱を効率的に冷却するため、油入変圧器の構造が広く採用されています。

特別高圧用の変圧器は、扱う電気の容量が桁違いに大きいため、電圧を変換する際に鉄芯や巻線からとてつもない熱が放出されます。もしこの内部の熱を効果的に冷却できないと、変圧器の寿命が縮むだけでなく、絶縁性能が破壊されてショートや爆発といった致命的な設備事故に発展しかねません。そのため、現在最も多く使われている油入変圧器では、内部を絶縁性と熱伝導性に優れた絶縁油と呼ばれる特殊な油で満たし、機器全体の温度を安全な水準に保つ工夫が施されています。

絶縁油を冷やす冷却方式には、施設の設置環境や規模に応じて、以下の3つの仕組みが主に使い分けられています。

1.自冷式

油の自然な対流と、ケースの外側に付けられたラジエーターの放熱によって自然に冷却する比較的シンプルな方式です。

2.送油風冷式

変圧器の内部にある油をポンプで変圧器本体とラジエーターの間で強制的に循環させ、さらに外部に設置した大型ファンで強い風を送り込んで急速に冷やす方式です。パワフルな風冷方式で、特別高圧の現場では広く一般的に採用されています。

3.送油水冷式

油を熱交換器に循環させ、空気ではなく水を用いて冷やす方式です。熱気がこもりやすい地下式変電所などで、室内の温度上昇を効果的に抑える目的から導入されています。

さらに、特別高圧用の変圧器では、油が外気に直接触れて劣化することを防ぐため、タンクの上部に隔膜式密閉方式のコンサベータを設けて空気との接触を完全に遮断するなどの高度な付帯設備が施されており、高圧用のキュービクルとは一線を画すスケールの大きな設計となっています。

ガス絶縁開閉装置(GIS)や遮断器(VCB)の役割

特別高圧受変電設備に備えられている遮断器は、通常時の電路の開閉だけでなく、事故時に発生する大電流の火花であるアークを瞬時に消し去り、波及事故を未然に防ぐ極めて重要な安全弁の役割を担っています。

特別高圧の電路を切り離そうとするとき、人間の手でコンセントを抜くのと同じような対応をしてしまうと、電圧が高すぎるために空気を通じてアーク放電と呼ばれる巨大な火花の帯が発生してしまいます。アークは数千度以上の超高温に達するため、瞬時に消し去る消弧システムが備わっていないと、機器が溶融して大災害を引き起こしたり、電力会社側の遮断器が作動して付近一帯を巻き込む大規模な停電事故を招いたりするリスクが常に付きまとっているのです。

そこで、特別高圧のキュービクルである受変電ボックスの内部には、限られたスペースのなかで省スペースと高い安全性を両立させるため、以下のような高度な開閉・遮断機器がコンパクトに搭載されています。

・真空遮断器(VCB)

真空の容器内で電路を切り離す遮断器です。真空中は火花(アーク)を最も素早く確実に消せるため、設備を安全に運用する中心的な役割を果たします。

・ガス絶縁開閉装置(GIS)

高性能なガスを満たした金属箱に、遮断器などの機器を一括収納したシステムです。大幅に省スペース化できるため、狭い敷地にも設置できます。

電気事業法に基づく保安規程と専任電気主任技術者

特別高圧受変電設備は、電気事業法上で「自家用電気工作物」に分類されるため、法令に基づき保安規程の作成・届出と、国家資格である電気主任技術者の選任が義務づけられています。

特別高圧は非常に高い電圧を扱うため、万が一の設備管理の不備による感電や波及事故のリスクを防止する目的から、法律によって設置者たる所有者自身に自己責任のもとでの自主的な安全管理体制が求められているためです。具体的には、運用開始前の段階で、日常の点検方法やメンテナンスの頻度を細かく定めた「保安規程」を管轄の経済産業大臣へ届け出なければなりません。

また、特別高圧の受変電設備を適切に管理・監督するための責任者として、以下の電圧区分に応じた国家資格を持つ電気主任技術者を専任で配置する必要があります。

・受電電圧50kV未満の設備(一般的な22kV受電など)

第三種電気主任技術者以上の有資格者の選任が必要です。

・受電電圧50kV以上170kV未満の設備(大規模工場の66kV受電など)

第二種電気主任技術者以上の有資格者の選任が必須となります。

・受電電圧170kVを超える超高圧設備(大型発電所など)

すべて第一種電気主任技術者の資格保有者でなければ保安監督業務を行うことはできません。

商業施設やIT企業など、自社内に上記のような電験資格を持つ専門の人材を直接雇用することが難しい場合は、電気事業法施行規則の一定の要件を満たしたうえで、保安協会などの外部の専門機関を利用した「外部委託承認制度」や「外部選任サービス」を利用可能です。自社で雇用するか外部に委託するかにかかわらず、特別高圧受変電設備における日常の月例点検や年に1回の計画的な停電をともなう年次点検の維持管理コストは、高圧以下と比べて高額になるため、あらかじめ年間のランニング予算を慎重に見込んでおくことが必要です。

参照:

東京電設サービス株式会社「【電気の基本】特別高圧とは?低圧・高圧との違いもわかりやすく解説」
https://navi.tdsnet.co.jp/2023/02/27/7679/

ギアミクス「特高受電とは?特高受変電設備の構成やメンテナンスについて徹底解説」https://gearmix.co.jp/blog/extra-highvoltage-substation/

関西電力「特別高圧とは?低圧や高圧との違い、活用するメリットや注意点を解説」https://sol.kepco.jp/useful/aircontrol/w/tokubetsukoatsu/

リエネ・エナジー「電気主任技術者の選任と外部委託制度との違いは?」
https://www.reene-energy.co.jp/recruit/denken/denken-sennin-gaibu/

次世代の分散型電力市場を支える特別高圧受変電設備の未来

以下で、特別高圧受変電設備の未来について、現在注目を集める系統用蓄電池事業との関係から紹介します。

急成長する「系統用蓄電池事業」の収益化モデルと仕組み

系統用蓄電池事業とは、大型の蓄電池を単独で電力網(系統)に直接接続し、複数の電力市場をパズルのように組み合わせるマルチ収益モデルによって安定した利益を生み出す分散型エネルギービジネスです。専門用語で、こうしたビジネスモデルを「レベニュー・スタッキング」と言います。

これまでの産業用蓄電池は、貯めた電気を電気代削減のために自社で消費したり、災害時の非常用電源として活用したりする自家消費モデルが主流でした。しかし、電気事業法の改正によって蓄電池単独での系統放電ビジネス市場が全面開放されたことで、蓄電池自体をひとつの発電所や蓄電所のように見立ててマネタイズする手法に大きな注目が集まっています。

系統用蓄電池事業が収益を上げる具体的な仕組みは、主に以下の3つの電力市場での取引によって成り立っています。

1.日本卸電力取引所(JEPX)でのアービトラージ(差益取引)

太陽光発電の出力が増えて市場価格が下落した日中の時間帯に電気を安く仕入れて充電し、夕方から夜間の需要が高まって価格が高騰するタイミングで放電して市場へ売電する差益モデルです。レベニュー・スタッキングで得られる収益の中核を支えます。

2.需給調整市場への参加(ΔkW価値)

電力系統の周波数を一定の品質に維持するために必要な調整力を提供することで、対価として報酬を獲得する仕組みです。

3.容量市場への供給力取引(kW価値)

将来にわたる日本全体の電力の供給力を担保するためのリソースとして登録を行うことで、供給力を提供する義務を果たすことを条件に、安定的な容量収入を得るモデルです。

このような3階建てのマルチ市場戦略を精緻な自動制御システム(EMS)で最適化しつつ回すことで、景気の変動に左右されにくい安定した投資回収と高い利回りを長期にわたって確保することが可能になります。

系統接続が高圧か特別高圧(特高)かで変わる投資対効果(ROI)

系統用蓄電池事業における投資対効果(ROI)を最大化するための大きな分かれ目は、電力系統への接続(連系)を高圧(6.6kV)で行うか、それとも特別高圧(22kV〜66kV以上)で行うかという、事業規模の選定ポイントにあります。

出力が2,000kW(2MW)未満の数MW規模までの比較的小規模なプロジェクトであれば、高圧の既存系統に接続してスタートできるため、初期の変電設備投資コストを低く抑えて素早く事業を開始できるメリットがあります。しかし、契約電力が2,000kWを超える大規模なプロジェクトを構築し、市場でより強固なスケールメリットを追求する場合は、必然的に特別高圧接続での連系が必要です。

特別高圧での連系を選択すると、敷地内に専用の特高受変電設備や大型コンテナを配置するため、初期の建設投資費用は数千万円から数億円規模へと膨れ上がります。しかし、特別高圧のインフラは、1回に取引できる放電・充電の電力量(MW数)のスケールが圧倒的に大きいため、JEPXのボラティリティ(価格変動率)を活かしたアービトラージ効果や、容量市場での約定金額を大幅に高めることが可能です。また、すでに敷地内に自社専用の特別高圧受変電インフラを保有している大規模工場などの事業者であれば、既存の引き込み容量や遊休地を活用して蓄電池設備を追加増設するプランを描くことができるため、ゼロからインフラを構築する新設の競合他社と比較して、非常に高い投資対効果(ROI)と圧倒的なコスト優位性を長期にわたって発揮できるスキームが実現します。

参照:

エネがえる「2026年アグリゲーションビジネス(ERAB)新規参入ガイドと収益モデル」
https://www.enegaeru.com/2026erabnewentryguide

ENE PICK「系統用蓄電池のビジネスモデルとは?土地活用・脱炭素の切り札となる『収益構造』と『参入リスク』」
https://enelink-esp.jp/media/storage-battery/

サステナブルナミライ「系統用蓄電池の収益の仕組みを徹底解説|4つの収入源・レベニュースタッキング・2026年優先給電ルール変更の影響まで」
https://sasutena-mirai.com/revenue-model-for-grid-connected-battery-storage/

まとめ:土地確保から複雑な接続検討、特高の設計・運用までプロに相談すべき理由

特別高圧受変電設備の導入や、設備を活用した系統用蓄電池事業への参入には、高額な費用がかかります。また、複雑な接続検討や法令に基づく保安管理など、専門的なハードルが山積しているのも確かです。したがって、自社の電力使用量にぴったりな設計を行い、リスクを抑えて事業化を進める場合、すべて社内だけで判断することは容易ではありません。

そのため、設計・施工から市場運用まで一括してサポートできるプロフェッショナルに相談することが成功への近道です。信頼できるアグリゲーターなどのパートナーとともに、自社に最適なエネルギー戦略をぜひ検討してください。

脇坂 祐輔
脇坂 祐輔 本記事の執筆・監修者

系統用蓄電池メディア「GRID NAVI」事業責任者

国内金融機関およびベンチャー企業にて、営業・事業企画領域に従事。 現在は、再生可能エネルギー分野を中心に、事業推進・情報発信に携わる。

国内金融機関およびベンチャー企業にて、営業・事業企画領域に従事。 現在は、再生可能エネルギー分野を中心に、事業推進・情報発信に携わる。

収益性やご不安な点は無料で個別相談できます

想定収益や詳細条件は、投資家さまごとのご状況(投資のご規模・ご要望・ご経験など)に応じて、個別にご案内します。必要事項をご入力いただくと、担当者よりGRID NAVIおよび系統用蓄電池投資に関する説明資料とあわせてご連絡いたします。

ご入力後に無理な営業は行いません。ご希望の連絡方法・時間帯にあわせてご対応します。ご相談は無料です。

資料ダウンロードとお問い合わせ(無料)