太陽光発電の売電価格の推移と2026年以降の電力会社を比較


公開日:2026.08.05 更新日:2026.08.02
太陽光発電の売電価格の推移と2026年以降の電力会社を比較

太陽光発電の売電価格の推移は年々下落しており、今後の長期的な収益性や投資回収の見通しに懸念を持つ需要家や事業者は少なくありません。

しかし、2026年度に本格導入された最新の支援スキームでは、初期費用を早期に回収しやすくするための新しい階段型の仕組みが用意されています。

そこでこの記事では、これまでの下落の歴史をデータを参照しながら振り返りつつ、東京電力や関西電力など大手電力会社の卒FITプランを比較します。

さらに、売電価格に依存しない蓄電池を活用した自家消費シフトの経済メリットまで、実際のビジネス運用に直結するポイントをまとめて紹介しますので、最後までご一読ください。

1. 経済産業省のFIT制度から紐解く売電価格の推移

はじめに、経済産業省が運用するFIT制度の基本と、売電価格が推移してきた背景について紹介します。

1-1. 太陽光発電における固定価格買取制度(FIT)の仕組み

太陽光発電の普及を目的として国が開始した固定価格買取制度(FIT)は、発電した電気を一定期間、同じ価格で電力会社が買い取ることを保証する仕組みです。FIT制度のおかげで、一般家庭や企業は長期間にわたる収支見通しを立てて設備投資を行うことが可能になりました。

FITが適用される期間は、住宅用の10kW未満であれば10年間、産業用の10kW以上であれば20年間と定められています。制度開始当初は高い買取単価が設定されていたため、多くの個人や法人が市場へ参入する大きなきっかけとなりました。太陽光発電は、天候による発電量の変動リスクはありますが、国が価格を保証することで、初期投資の回収計画を安全に組み立てられる点が最大のメリットです。近年では日中に発電されて余った電気を売る余剰売電だけでなく、自社や自宅で消費する自家消費型への移行が進み、運用の目的自体も多様化しています。

1-2. なぜ経済産業省は売電単価を毎年引き下げてきたのか

経済産業省が売電単価を毎年引き下げてきた理由は、世界的なパネルの普及にともない、太陽光システムの導入費用そのものが大幅に安くなったためです。

FITの買取価格は、設置にかかる平均的な費用やメンテナンスコストをベースに、調達価格等算定委員会が毎年厳密に計算して決定しています。もしも機材や工事の相場が下落するのにあわせて売電単価を下げなければ、特定の事業者だけが必要以上の利益を得ることになってしまいます。

また、売電費用の一部は、すべての電気利用者が支払う「再エネ賦課金」によってまかなわれているという現状があります。再エネ賦課金の負担総額が膨らみすぎると国民全体の経済負担に重くのしかかってしまうため、国は単価を引き下げることで、市場の健全化と国民負担の抑制を図ってきました。したがって、売電価格の下落は制度が時代に追いついていないといったネガティブなものではなく、太陽光設備が安価なインフラとして成熟した証拠であると言えます。

2. 太陽光発電における売電価格推移の歴史と最新動向

ここでは、太陽光発電における売電価格の歴史的推移と、2026年度以降の最新動向について見ていきましょう。

2-1. 住宅用(10kW未満)の売電価格推移とこれまでの下落要因

住宅用太陽光発電の売電価格は、2012年度の開始当初に設定された42円/kWhから、年々急激なペースで下落を続けてきました。設備コストの下落が最大の要因ですが、市場拡大にともない販売施工業者の競争が激化したことも、システム価格の引き下げに拍車をかけました。

主な住宅用売電価格の推移は以下の通りです。

適用年度住宅用売電単価(10kW未満)固定買取期間
2012年度42円/kWh10年間
2015年度33円/kWh〜35円/kWh10年間
2018年度26円/kWh10年間
2021年度19円/kWh10年間
2024年度16円/kWh10年間

数字だけを見ると収益性は下がってしまったように見えますが、設置費用が大幅に下がったため、投資効率自体が極端に悪化したわけではありません。安価に導入できるようになったからこそ、売電単価も適正な数値へと推移してきた歴史があります。

2-2. 2026年度以降の見通しと初期投資支援スキームによる回収モデル

2026年度以降のFIT制度では、初期投資を早期に回収しやすくするための「初期投資支援スキーム」が本格的に適用されています。

新スキームでは、導入初期の4年間を24円/kWhと高額に設定し、5年目から10年目までを8.3円/kWhに引き下げるという段階的な価格体系が採用されました。その結果、太陽光パネルの設置者は最初の4年間で集中的に売電収入を得ることができ、設備投資の元本をスピーディーに回収することが可能です。新スキームの単価24円/kWhについては、数年前と同じレベルの水準であり、新規で太陽光発電システムの設置を検討している方にとって力強い追い風となっています。

一方で、地上設置型の産業用太陽光については、2027年度以降はFITおよびFIPの新規受付を廃止する方針が決定されました。国は今後、住宅や屋根設置型の普及に予算を集中させる姿勢を明確にしています。住宅やビル等の屋根・屋上を有効活用し、賢く長期的な回収モデルを組むためにも、2026年度はベストのタイミングであると言えます。

参照URL:
・経済産業省 資源エネルギー庁「令和3年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2022) HTML版」
・タイナビ発電所「太陽光発電の売電価格とは?推移やFITの対策をわかりやすく紹介」
・調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」
・エネがえる「2026~2028年の住宅用・産業用太陽光FIT・FIP制度はどうなる?2026・2027の確定値と2028年の見通しを公式資料で整理」

3. 卒FIT後の売電単価を東京電力や関西電力など地域別に比較

ここからは、固定価格買取期間が満了した後の各地域における売電単価の比較と、賢いプランの選び方について見ていきましょう。

3-1. 東京電力・関西電力・中部電力の卒FIT買取価格プラン

10年間の固定買取期間が満了した、いわゆる「卒FIT」を迎えたあとの売電価格は、大手電力会社の場合およそ8.5円/kWh前後と大幅に低下します。

全国の主なエリアの買取プランは以下の通りです。

地域電力会社基本買取プラン単価特徴
東京電力エナジーパートナー8.5円/kWhライフバル等のポイント連携あり
関西電力8.5円/kWh独自の電気預かりサービス等あり
中部電力ミライズ8.5円/kWhカテエネポイントとの合算が可能

これまで1kWhあたり数十円で買い取られていた電気の価値が一桁台にまで激減するため、対策をせずに放置すると家計に大きな打撃を受けることになります。大手電力会社では、電気やガスとのセット契約で割引やポイント還元率を上げるプランを用意しており、売電価格の数字を見るだけでなく、月々の電気料金全体を抑える視点が不可欠です。

3-2. 中国電力・四国電力・九州電力エリアにおける選び方

中国電力、四国電力、九州電力エリアにおいても、卒FIT後の基本買取価格は7円〜7.15円/kWh前後の低い水準にとどまっています。特に九州電力エリアなどは発電量が需要を上回りやすく、出力制御が実施されるなど地域特有の課題があります。そのため、大手電力会社の標準プランだけに頼らず、地域の新電力会社が提供する独自プランを幅広く比較することが重要です。

現在、ハウスメーカー経由で優遇プランを受けられたり、地域ポイントで還元されるなど、ユニークな選択肢も増えています。ただし、新電力会社を選ぶ際は経営基盤の安定性はもちろん、情勢変化によって価格が改定されるリスクも確認してください。長期的な視点から安心して電気を利用できる契約先を選ぶことが、地方エリアでの太陽光発電運用の鍵を握っています。

4. 売電価格推移に依存しない太陽光の自家消費・蓄電池活用術

ここでは、売電価格の低迷を逆手に取り、電気を賢く自給自足するための自家消費シフトと蓄電池の活用術について紹介します。

4-1. 買取価格の下落対策「自家消費シフト」の経済的メリット

卒FIT後の売電単価は7円〜8.5円程度ですが、電力会社から購入する電気の単価は、再エネ賦課金が2026年度で4.18円/kWhとなっている影響もあり30円以上へと上昇しています。こうした価格差を考えれば、太陽光パネルで発電した電気を売るよりも自宅で消費するほうが1kWhあたり20円以上も得をすることになります。

このように、売電するよりも自家消費が経済的に有利になる現象を、専門用語で「グリッドパリティ」と言います。昼間に発電した電気をエコキュートの湯沸かしや家電の利用に充てることで、購入電力量を抑えるライフスタイルへの転換は今後ますますスタンダードとなるでしょう。

4-2. 卒FIT後の放置リスクと最適な機器導入のタイミング

卒FIT後に何の手続きもせず標準プランのまま放置してしまうと、毎月の家計で大きな経済的デメリットが及びます。自給自足を徹底するためには、家庭用蓄電池をはじめ、家庭に電気を供給できるV2Hタイプの電気自動車(EV)を導入する方法が有効です。蓄電池があれば昼間に余った電気を夜間に回せるため、電力会社への電気の依存度を大幅に下げられます。

最適な導入タイミングは、設置から10年が経過し、パワーコンディショナ(PCS)などの周辺機器が交換時期を迎えるときです。設備点検とあわせて蓄電池を設置すれば工事費用もまとめられ、コストを抑えられます。自治体の補助金も活用し、賢く卒FIT後を見据えた対策を検討してください。

参照URL:
・新電力ネット「FIT(固定価格買取制度)の買取/売電価格推移」
・関西電力「太陽光発電の売電は上がる?今後の動向やいま設備を導入すべき理由を解説」
・タイナビ発電所「太陽光発電の売電価格とは?推移やFITの対策をわかりやすく紹介」
・新電力ネット「グリッドパリティ|用語集」
・Panasonic「『V2H』とは?仕組みや機器などの基礎知識と導入のメリットをご紹介」

5. 太陽光発電の長期運用やプラン見直しをプロに相談するメリット

ここからは、太陽光発電のプラン見直しや長期的な運用についてプロに相談するメリットを紹介します。

5-1. 各家庭の電気使用量やライフプランに合わせた収支診断

太陽光発電の運用方法は、各家庭の電気使用量や将来のライフプランによって大きく異なります。

地域ごとの日照量や屋根の形状、家族が電気を使う時間帯により、実際の経済的なメリットはさまざまです。インターネット上の簡易シミュレーションだけでは、正確な収支の見通しを立てるのは難しい場合があります。また、パワーコンディショナなどの周辺機器は、10年から15年程度で経年劣化するため、定期的に交換費用が発生します。

ここに挙げた問題も、プロに相談すれば、将来のメンテナンスコストも含めたオーダーメイドの診断を受けることができます。太陽光発電と連携しやすい蓄電池を導入するうえでも、ひとりひとりの生活にぴったりな容量のモデルを選ぶことが可能です。客観的なデータに基づき、将来追加で出費する事態を防ぎ、トータルのコストを最適化できます。

また、太陽光発電だけでなく、より広範なエネルギー資産運用に関心がある方には、最近注目を集めている「系統用蓄電池投資」という選択肢もあります。プロに相談する際には、こうした次世代のエネルギー関連投資を含めた、将来的な資産ポートフォリオの形成についてあわせて話を聞いてみるのもおすすめです。

5-2. プロに相談する前の準備ポイント

プロによる診断の精度を上げるためには、現在利用中の電気契約や電気使用量がわかる資料を前もって準備しておくことが大切です。

具体的には、次のような資料を用意しておきましょう。

  • 検針票(過去1年分の電気料金)
  • 毎月の電気使用量データ(WEBページで確認)
  • 設置している太陽光設備のメーカー名や発電容量がわかる仕様書(用意できればで可)

家庭の使用状況がわかる数値が揃っていることで、アドバイザーは今の無駄なポイントを見つけ出し、より精度の高いシミュレーションを提案できます。

このほか、将来的に電気自動車を購入したい場合や、数年後に家族が同居する予定があるといった情報も伝えるとなお良いでしょう。目先の売電価格に気を取られることなく、10年後や20年後のコストパフォーマンスを見据えた運用アドバイスを相談できます。

参照URL:
・京セラ「太陽光発電の売電価格はいくら?今後の動向やFIT・FIP制度を徹底解説!」
・タイナビ「太陽光発電の売電価格とは?推移や卒FIT後の対策をわかりやすく紹介」 

6. まとめ:売電価格推移の動向を把握して賢く太陽光を運用しよう

ここまで売電価格の推移を見てきたように、太陽光発電は「電気を売る」時代から、自宅で消費して高い電気代を削減する「自家消費」の時代へとシフトしています。2026年度の初期投資支援スキーム活用して新規設置する方も、すでに固定買取の終了が近づいている方も同じ土俵に立っている状況です。

いちばん大切なことは、お住まいの住宅の条件にあわせた正確な収支予測を行うことです。平均値で計算された表面的なデータだけで判断せず、最新のデータに基づいたトータルコストの最適化プランを設計することが失敗しないためのポイントとなります。まずは一度、信頼できるプロへ専門的な観点から収支シミュレーションを依頼し、将来のライフプランにあわせたベストな運用プランを整理することをおすすめします。

井上 勝司
井上 勝司 本記事の執筆・監修者

株式会社インターコンテック所属 マネージングディレクター / 事業戦略責任者

太陽光発電システムの企画・開発・流通・販売まで、再生可能エネルギー事業の上流から下流までを一貫して経験する事業戦略責任者。再生可能エネルギー業界で18年以上にわたり、太陽光発電事業を中心に、事業開発、EPC、プロジェクトマネジメント、金融ストラクチャリングなど幅広い分野に携わる。

Non-FIT制度開始以降は、大規模発電所から分散型・地産地消型電源の開発まで数多くのプロジェクトを推進し、スタンフォード大学発の太陽光パネルメーカーやEPC事業者で培った知見を活かして事業開発を実施。RE100を推進する企業への案件組成や、自社での発電設備保有・電力卸取引など、多様な事業スキームを手掛けてきた。近年は系統用蓄電池やNon-FIT電源開発にも注力し、事業戦略の立案から実行までを支援している。

慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(経営学修士〈Executive MBA〉)。経営学・都市社会学を専門とし、役員歴4年、再生可能エネルギー業界歴18年以上。

太陽光発電システムの企画・開発・流通・販売まで、再生可能エネルギー事業の上流から下流までを一貫して経験する事業戦略責任者。再生可能エネルギー業界で18年以上にわたり、太陽光発電事業を中心に、事業開発、EPC、プロジェクトマネジメント、金融ストラクチャリングなど幅広い分野に携わる。

Non-FIT制度開始以降は、大規模発電所から分散型・地産地消型電源の開発まで数多くのプロジェクトを推進し、スタンフォード大学発の太陽光パネルメーカーやEPC事業者で培った知見を活かして事業開発を実施。RE100を推進する企業への案件組成や、自社での発電設備保有・電力卸取引など、多様な事業スキームを手掛けてきた。近年は系統用蓄電池やNon-FIT電源開発にも注力し、事業戦略の立案から実行までを支援している。

慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(経営学修士〈Executive MBA〉)。経営学・都市社会学を専門とし、役員歴4年、再生可能エネルギー業界歴18年以上。

収益性やご不安な点は無料で個別相談できます

想定収益や詳細条件は、投資家さまごとのご状況(投資のご規模・ご要望・ご経験など)に応じて、個別にご案内します。必要事項をご入力いただくと、担当者よりGRID NAVIおよび系統用蓄電池投資に関する説明資料とあわせてご連絡いたします。

ご入力後に無理な営業は行いません。ご希望の連絡方法・時間帯にあわせてご対応します。ご相談は無料です。

資料ダウンロードとお問い合わせ(無料)