再エネ特措法とは!目的やFIT&FIP制度の違いと改正内容をわかりやすく解説


公開日:2026.09.24 更新日:2026.10.05
再エネ特措法とは!目的やFIT&FIP制度の違いと改正内容をわかりやすく解説

脱炭素社会の実現に向け、企業の再生可能エネルギー導入や発電事業の推進において避けて通れないのが、再エネ特措法とは何かを正しく理解することです。近年の制度改正やFIP制度への移行が進むなか、実務担当者には正確な知識と迅速な対応が求められています。

ただし、再エネ特措法とはどのような法律なのか、その概要や制定の目的、制度の特徴をはじめ、エネルギーの対象範囲やFIT&FIP制度の違い、改正内容、改正による変更点まで、包括的に把握できているでしょうか?

そこでこの記事では、再エネ特措法の基本から企業向けの活用法、施行規則に基づく認定手続きや系統用蓄電池の事業参入までわかりやすく解説します。自社の事業計画や脱炭素戦略を前進させるのに役立つ情報をまとめていますので、最後までご一読ください。

1. 再エネ特措法とは?概要と目的・制度の特徴をわかりやすく解説

はじめに、再エネ特措法の基本、法律が制定された目的、制度の特徴について紹介します。

1-1. 再エネ特措法とは?法律の正式名称と制定の背景・目的

再エネ特措法の正式な法律名は「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」です。

2011年の東日本大震災以降、日本のエネルギー自給率向上と、脱炭素社会の実現のため温室効果ガスの大幅削減を目指す目的で制定されました。初期投資コストが高く普及が進みにくかった再生可能エネルギーについて、国が発電電力を買い取る枠組みを定めることで、市場への急速な普及を後押しする役割を担っています。

1-2. 法律が定めるエネルギーの対象範囲

法律が定めるエネルギーの対象範囲には、主に以下の指定5電源が含まれます。

①太陽光発電

国内での導入が最も進んでいる分散型電源です。

②風力発電

洋上風力・陸上風力を含め、今後大規模な開発が期待される電源です。

③水力発電

中小水力を中心に、年間を通じて安定供給が可能なベースロード電源として期待されます。

④地熱発電

火山国日本の強みを活かした天候に左右されないベースロード電源のひとつです。

⑤バイオマス発電

木質や未利用資源、廃棄物等を燃料とし、調整力も備えた電源です。

国によって、それぞれの電源特性に合わせた支援策が設計されています。

1-3. 再エネ賦課金と事業計画認定を軸とする制度の特徴

本制度の中核をなす仕組みは、

  • 再エネ発電促進賦課金(再エネ賦課金)
  • 事業計画認定

の2つです。

電力会社が買い取る費用の一部は、全電気利用者から集める再エネ賦課金によって賄われており、国民全体で再エネ拡大を支える構造です。一方で、事業者には適切な法令遵守や安全管理を求める事業計画認定制度が適用されます。

このように、発電支援のみにとどまらず、電力系統の強靭化や地域との共生を企図した仕組みが整備されてきました。

参照URL: 経済産業省:資源エネルギー庁「再エネ特措法改正関連情報」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/

丸紅新電力「再エネ特措法の概要と2024年の改正内容を徹底解説」 https://denki.marubeni.co.jp/column/renewable_energy_special_measures_law/

2. FIT&FIP制度の違いと事業者が選ぶべき制度の判断基準

ここでは、再エネ特措法の柱であるFIT制度とFIP制度の仕組み、収益構造、FIT&FIP制度の違いについて紹介します。

2-1. 固定価格買取制度(FIT制度)の仕組みとメリット・課題

FIT制度は、国が定めた固定単価にて、10〜20年間の長期にわたり電力会社が再エネ電力を買い取る仕組みです。

事業者側のメリットとして、長期の安定収益が確約されるため、金融機関からのプロジェクトファイナンス調達が容易になる点が挙げられます。しかし、買取費用の増大にともない、再エネ賦課金のかたちで国民負担を求めることや、市場の需給状況と乖離した発電が行われる点が課題とされてきました。

2-2. 市場連動型プレミアム制度(FIP制度)の仕組みとインバランスリスク

FIP制度は、卸電力市場(JEPX)などで売電した価格に対し、国が一定の補助金をプレミアムで上乗せして交付する仕組みです。

市場価格に連動するため、需給がひっ迫して価格が高騰する時間帯に売電することで、収益を最大化できるメリットがあります。一方で、発電計画と実績のズレに対して発生するインバランスリスクのペナルティを事業者が負うため、高度な発電予測やエネルギー管理が必要です。

2-3. FIT&FIP制度の違いを徹底比較!電源別・規模別の選択基準

事業者がどちらの制度を選ぶべきかは、電源種や事業規模によって異なります。

下表で、FIT&FIP制度の違いから、電源別・規模別の選び方をまとめました。

【FIT&FIP制度比較表】

項目FIT制度(固定価格買取)FIP制度(市場連動型)
買取・売電価格一定の固定価格市場価格 + プレミアム
売電先一般送配電事業者等卸電力市場(JEPX)やPPA需要家
インバランス負担免除事業者が負担(計画値同時同量)
蓄電池併用の効果限定的極めて高い(高値時間帯へ放電)
適用規模小規模太陽光・地域電源中〜大規模再エネ・ビジネス

このように、家庭やオフィスといった小規模な屋根置き太陽光などはFIT制度を引き継ぐ方法が適していますが、大規模な事業案件ではFIP制度への移行が必須となります。FIP制度下では、インバランスを回避し市場ボラティリティを活かすため、系統用蓄電池やAIアグリゲーションの活用が事業成功の大きな鍵です。

参照URL: ホールエナジー「再エネ特措法とは?FIT・FIP制度の概要を解説」 https://www.whole-energy.co.jp/column/5754/

ジチタイワークスWEB「再エネ特措法とは?改正のポイントやFIT&FIP制度の違いについてわかりやすく解説」
https://jichitai.works/articles/2680

3. 再エネ特措法の近年の改正内容と改正による変更点・企業への影響

ここでは、近年の再エネ特措法改正における主要な改正内容と改正による変更点、企業活動への影響について紹介します。

3-1. 地域共生に向けた「住民説明会の義務化」と事前周知ルール

太陽光発電の拡大に伴い、土砂災害リスクや景観悪化、放置パネルなど地域の懸念が高まったため、地域共生を目的とした法改正が実施されました。

一定規模以上の再エネ設備の新設や事業計画の変更をおこなう際は、周辺住民に対する説明会の開催が義務化されています。小規模な設備であってもポスティングなどの事前周知措置が必要となり、自治体独自の条例との関係を考慮した事前の丁寧な合意形成が必要です。

3-2. 違反事業者に対する「FIT/FIP交付金の一時停止」と監督義務の強化

安衛法・農地法・森林法など関係法令への違反や、認定計画に反する運用が発覚した場合のペナルティが大幅に強化されました。

法令違反に対しては、FIT/FIP交付金の支払いを一時的にストップする積立命令が下され、改善が見られない場合は交付金の返還命令や認定取り消しといった厳しい措置が講じられます。発電事業の一部や維持管理を他社へ委託する場合でも、委託先事業者に対する監督義務が明文化されており、事業者の管理責任は一段と増している状況です。

3-3. 太陽光パネル廃棄費用の積立義務化と改正による変更点のポイント

将来の放置パネル問題を防止するため、10kW以上の太陽光発電設備を対象に廃棄費用の積立が本格化しています。源泉徴収による外部積立が原則です。

下表で、ここまで紹介した再エネ特措法改正による変更点を整理しました。

項目改正前改正後(近年の変更点)
住民への事前説明自発的な周知のみで努力義務が中心一定規模以上で説明会開催が義務化
違反時のペナルティ改善命令・認定取り消し交付金一時停止(積立命令)・返還命令など
廃棄費用の管理事業者による自己積立(内部積立)推進機関を通じた源泉徴収による外部積立が原則化
委託先への監督規定なし(委託先責任)発電事業者による「監督義務」の明文化

事業者・投資家・土地所有者には、再エネ特措法の規定に則り、

①他法令の遵守

②住民説明会の実施

③外部積立の履行

④委託先の適正監督

⑤防災・安全対策

⑥定期報告の徹底

⑦最新法改正の把握

といった、7つの流れを遵守した対応が求められています。

参照URL:資源エネルギー庁「再エネ特措法改正関連情報」https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/FIP_index.html

丸紅新電力「再エネ特措法の概要と2024年の改正内容を徹底解説」 https://denki.marubeni.co.jp/column/renewable_energy_special_measures_law/

4. 企業向けの制度活用方法と脱炭素経営の再エネ調達戦略

ここからは、RE100や脱炭素経営を目指す企業向けに、再エネ特措法の枠組みを活用した調達手法と戦略について見ていきましょう。

4-1. 企業向けの再エネ調達手段の比較

再エネ特措法の見直しにともない、企業向けに提供される再エネ調達の選択肢は多様化しています。

具体的に、以下の

  • FIP電力
  • コーポレートPPA
  • 非化石証書

といった3つの主な手法から、自社の財務方針に合わせた選択が重要です。

【企業向けの再エネ調達手段3つの比較表】

調達手段コスト・契約期間手続き負担環境価値の追加性(Additionality)
FIP電力の直接調達市場連動/中・長期中程度(小売経由)あり(市場連動による投資促進)
コーポレートPPA長期固定(OpEx型)高い(直接交渉)極めて高い(新規電源の建設)
トラッキング非化石証書スポット・単年度低い(購入のみ)条件により限定的(既存電源主体)

上表からわかるように、設備投資であるCapExを抑えて手軽にScope2を削減したい場合は非化石証書が有利です。さらに、新規電源の創出効果まで求めてRE100の評価を高めたい場合はコーポレートPPAやFIP電力活用による調達手段が優れています。

4-2. RE100・SBT目標達成に向けた企業の再エネ調達パターンと活用事例

先進的な企業では、目標の難易度や調達スピードに応じて複数の手段を組み合わせる二段構えの調達パターンが主流となっています。

大手製造業やIT企業では、FIP事業者が開発した新設の太陽光・風力発電所からオフサイトPPAを通じて長期給電を受ける事例が増加傾向です。また、既存拠点の即時オフセットには非化石証書を活用し、中長期的な脱炭素目標に向けてはPPAで新設再エネを確保する運用が広がっています。SSBJ基準やCDPなどの環境情報開示において評価を高めるうえで、こうした多角的な調達は非常に効果的です。

参照URL:資源エネルギー庁「再エネ特措法改正関連情報」https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/FIP_index.html

丸紅新電力「再エネ特措法の概要と2024年の改正内容を徹底解説」 https://denki.marubeni.co.jp/column/renewable_energy_special_measures_law/

5. 施行規則・認定申請要件と系統用蓄電池(BESS)の事業参入

ここでは、再エネ特措法の施行規則に基づく認定手続き要件と、FIP時代に急速に市場が拡大する系統用蓄電池の事業参入について紹介します。

5-1. 施行規則に基づく事業計画認定の申請要件と手続きフロー

再エネ発電事業を開始する際は、再エネ特措法施行令および施行規則に基づき、事業計画認定を取得する必要があります。

認定申請にあたっては、関係法令の遵守チェックをはじめ、土地確保の権利証明、電力会社と系統接続枠に関する接続契約の締結が必須要件です。申請から書類審査、認定受領、運転開始へと進み、開始後も設置費用や運転費用の定期報告をおこなう全体フローがルール化されています。特に、一次情報である資源エネルギー庁が公表する最新のガイドラインを常に確認し、手戻りを防ぐ対応が重要です。

5-2. FIP制度・出力制御下における系統用蓄電池(BESS)の重要性と多重収益モデル

再エネの大量導入にともない昼間の出力制御が急増しており、FIP事業者にとって市場価格下落や捨てられる電力の回避が喫緊の課題となっています。

送電網に直接つなぐスタンドアローン型の系統用蓄電池(BESS)は、出力制御時の余剰電力を充電し、需要ピークや市場スパイク時に放電する補完機能を果たすアセットです。卸電力市場(JEPX)での価格差益取引であるアービトラージ、需給調整市場での調整力提供、容量市場での供給力対価を重ね合わせた多重収益(いわゆるレベニュースタッキング)モデルが注目されています。

5-3. 系統用蓄電池事業への参入ハードルとプロへの相談の重要性

系統用蓄電池事業は有望な投資機会である一方、実務上の参入ハードルが非常に高い分野でもあります。

変電所周辺の適切な土地選定や送配電事業者との複雑な系統接続協議、AIを活用した充放電の最適化運用、海外メーカーからの設備調達など、高度なノウハウが必要とされます。

そこで、事業検討の際は、自社の保有土地や資金で参入できるかの条件確認、権利付きの販売中案件の選定、精緻な収益シミュレーションを実施する第一歩として、系統用蓄電池総合プラットフォーム「GRID NAVI」などのプロの知見を活用することが確実な収益化のために大切です。

参照URL:資源エネルギー庁「認定手続関係 新規認定申請」https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_nintei.html

「GRID NAVI」
https://gridnavi.jp/

6. まとめ:再エネ特措法とは制度の最新動向を捉えて脱炭素と事業成長を実現する第一歩

ここまで見てきたように、再エネ特措法の概要や目的、FIT・FIPの違い、法改正のポイント、企業における活用法にはさまざまな論点があります。

再エネ特措法は、日本の脱炭素化を牽引する根幹であり、地域共生やFIP化へ向けたルール強化が進んでいます。したがって、適切な調達・事業計画を立てる際は、最新の法改正や遵守事項を正しく把握することが重要です。

あわせて、FIP移行や出力制御問題を背景に、電力を貯蔵して多重収益化を狙う系統用蓄電池事業は、極めて高い成長性と収益性を兼ね備えた注目のジャンルとなっています。

自社条件での参入可能性確認や土地選定、系統接続、収益シミュレーションを進める第一歩として、系統用蓄電池総合プラットフォーム「GRID NAVI( https://gridnavi.jp/ )」の活用をぜひご検討ください。

泉 拓磨
泉 拓磨 本記事の執筆・監修者

合同会社スタートツアーズ 代表社員

太陽光発電・蓄電池をはじめとするエネルギー分野の専門家。NTTスマイルエナジーに約10年間勤務し、営業から新サービスの開発・企画まで幅広く従事。独立後は、メーカー・商社・EPC・地域新電力など、エネルギー関連企業のコンサルティングや人材育成を手がけ、現在は18社の顧問を務める。

自治体の災害時避難所への太陽光発電・産業用蓄電池の導入や、地域新電力における電源開発などの実務経験も持つ。太陽光・蓄電池の設計から事業開発、人材育成まで、エネルギー業界で培った豊富な知見をもとに記事を監修。

太陽光発電・蓄電池をはじめとするエネルギー分野の専門家。NTTスマイルエナジーに約10年間勤務し、営業から新サービスの開発・企画まで幅広く従事。独立後は、メーカー・商社・EPC・地域新電力など、エネルギー関連企業のコンサルティングや人材育成を手がけ、現在は18社の顧問を務める。

自治体の災害時避難所への太陽光発電・産業用蓄電池の導入や、地域新電力における電源開発などの実務経験も持つ。太陽光・蓄電池の設計から事業開発、人材育成まで、エネルギー業界で培った豊富な知見をもとに記事を監修。

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